水族館の展示で見ることのできるオウムガイ。
じっと見ていても水中の一点にとどまってなかなか動かず、本当に動くのか心配になるほどですが、餌の時間になると一転、積極的に動き出します。
今回はそんなちょっとお茶目なオウムガイのご飯についてご紹介しましょう。
オウムガイの主食と捕食方法
意外に思われるかもしれませんが、オウムガイは肉食生物です。
野生のオウムガイが主に食べる餌は、小魚の亡骸や脱皮した甲殻類の殻などです。
なぜそんなものを主食にしているのかというと、オウムガイの動きは野生のものでもとてもゆっくりで、餌となる小魚や甲殻類を自力で捕獲することができません。
そのため、動かないものを探し出して食べるしかないのです。
ちなみに、オウムガイ漁をする文化のあるフィリピンやパラオでは、漁のえさとして魚ではなく鶏肉を使っているそうです。
これを使うとオウムガイの食いつきがいいのだとか。
餌に近づくと、オウムガイは触手を器用に伸ばし、獲物を掴みます。
そのまま口元まで持って行き、もぐもぐと食べるのです。
咀嚼しているのか消化しているのか、ゆらゆらと上下に揺れながら一心に食べ進める姿は、どことなく健気に見えます。
飼育環境下で食べものを与える場合、新鮮な魚やエビなどの切り身が適しています。
甲殻類のように硬い殻も、ばりばりと食べることができるので、殻をむいてやる必要はありません。
市販の餌としては、熱帯魚のショップなどで売られている、クリルと呼ばれる乾燥オキアミも適しています。
いずれの場合も、オウムガイが食べやすいように口元まで持っていって食べさせます。
動きがとても遅いうえ、目が発達しておらず視力がほぼないに等しいので、遠いところの餌は認識できない可能性があるためです。
食べさせる時は、鋭いクチバシに当たって怪我をしないように気をつける必要があります。
まとめ
オウムガイの食べるものについてご紹介しました。
ゆったりした動きからは想像がつきにくいですが、肉食で硬いものでも平気で食べてしまいます。
自分で餌をやる機会というのはなかなかないかもしれませんが、水族館ではまれに飼育員さんがオウムガイに餌をあげている場面を見られることもありますので、運よくそんな場面に遭遇したら、ぜひじっくり観察してみてくださいね。