今からおよそ5億年も前にその祖先が誕生し、4億5000年前にはすでに今とほとんど同じ姿形をしていたという、現代に生きている化石のひとつ、オウムガイ。
その姿を水族館などでご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、水中をゆらゆらと揺蕩うように漂い、動きらしき動きがあまり見られないのがほとんどです。
オウムガイは果たしてきちんと泳ぐことができるのか?と心配になってしまいますが、実はれっきとした自身の泳ぎ方を持っています。
今回は、ちょっと不思議なオウムガイの泳ぎ方について、解説していきたいと思います。
オウムガイの泳ぎ方のしくみ
水中にいるオウムガイは、ほぼ静止しており、一見すると何の力も働いていないように見えます。
しかし、その体の中では同じところに居続けるための力が常に働いているのです。
オウムガイの殻の中は、本体が入っている手前側の部屋と、空洞になっている奥の部屋に分かれています。
この奥側の空洞の部屋は、「カラメル液」と呼ばれる液体と、ガスによって満たされています。
カラメル液は、体内の浸透圧を変化させることによってその量が増減し、それによってガスの量も増減します。
この調節によって、浮く力をコントロールし、同じ場所に浮き続けることができるのです。
また、移動するときは、これとはまったく別の力を利用します。
イカやタコの仲間であるオウムガイは、体内にイカやタコと同じく「ろうと」という器官を備えています。
このろうとの力で体内に水を吸い込んだり吐き出したりすることによって、水中での推進力を得て動くことができます。
ただし、その力はイカやタコに比べると非常にささやかで、自ずと動きもゆっくりになってしまいます。
このため、動き回る魚などを自力で捕獲することができず、甲殻類の脱皮したあとの殻や、亡くなった魚介類などを主な食料としているのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
オウムガイの非常にゆっくりとした泳ぎ方の秘密は体内の構造に隠されていました。
水族館などでオウムガイをずっと観察していると、たまにですがのんびりと泳ぐ姿を目撃することができます。
餌を食べる時の動きなどもとてもユニークなので、機会があればぜひ見に行って欲しいと思います。