昨今、クラゲによる癒し効果が話題になったりしていつの間にか、知名度が良いモノに変わってきているようです。
そんなクラゲブームな中でもキラキラ虹色に光って見える「クシクラゲ」をご存知でしょうか?
上記で、虹色に光って見える「クラゲ」と呼んでいますが、実は一般で言うクラゲとは別の生物だったりします。
クラゲと名前が付いているのに、生物的に違うとはどういう意味なの?という疑問にお答えしたいと思います。
クシクラゲとクラゲが違っている点について
実は、名前の由来から生態系まで、とことん違うんです。
いくつか比べてみました。
名前の由来
では早速、クラゲと何が違うかと問われましたら、名前についているクシが有る無いが関係しています、とまずは答えておきましょうか。
クシクラゲの体の八方にまたがっている繊毛が、櫛の歯のように見える櫛板(しつばん)になっている事が「クシクラゲ」と呼ばれる由来にもなっている様です。
櫛板が有る生物なので、「有櫛動物」と分類され呼ばれています。
ちなみに、一般にクラゲと呼ばれているのは「刺胞動物」と呼ばれ、刺胞には毒針が有る為「クラゲに刺された・・・!」と言う事態が起きます。
有櫛動物というと、その毒針の刺胞がないので、刺されるなんて事は起きません。
刺胞動物(一般的なクラゲ)は、刺すという字が付いていますので、餌となる生物を毒針付きの刺胞で刺してしびれさせて仕留める訳です。
有櫛動物(クシクラゲ)は、ウリクラゲと呼ばれる種以外、2本の触手を持っています。
ですが、上記で述べた通り、毒針で刺す様な使い方ではなく、獲物が近づいてきた時に網を投げるかのような感じで絡めとって捕食します。
泳ぎ方の違い
さて次に泳ぎ方ですが、大きな布をぼわっと傘状に広げ感じで海の流れに任せて漂っているのがクラゲです。
一応、傘を開いたり閉じたりで反対方向に泳ぐことは出来ます。
ところが一方の、クシクラゲの方の形状は球形や楕円形、帯状だったりします。
そしてクシクラゲは、上記で書きました例の、体に8つの櫛板列と呼ばれる細かな櫛(クシ)を懸命に動かすことによって、ゆっくりではありますが自分の意志で海の中を動く事が出来るのです。
しかし例外もいまして、コトクラゲやクラゲムシと呼ばれる種になると、海底や岩などに引っ付いて生活していく為、櫛板が退化していたり、消滅しているという有櫛と言っても櫛が無いじゃないじゃないの・・・という種類も居たりします。
一生の違い
次に雑学的な部分での違いを比べてみます。
基本クラゲはオスとメスがいますが(雌雄異体)、クシクラゲは無性生殖(雌雄同体)だったりします。
つまり、クシクラゲは一体で卵を産む事が出来る訳です。
更に、生まれてからの、一生の過ごし方も全く違います。
刺胞動物のクラゲは、産まれてからすぐに海底に活着して何度も細胞分裂を繰り返しつつ姿形を変えた後、最後にやっと私たちが「クラゲ」と呼ぶ姿の成体に変化を遂げます。
クシクラゲの方はというと、卵から孵った幼生は大体の種類のクシクラゲは成体の親と同じ姿をしています。
また、クラゲの特徴として、口で食べて消化したモノを何とまた口から排泄するのですが、クシクラゲには肛門があるようで、ちゃんとそちらから出しているそうです。
この様に比べてみると、全く違う生物と言われても納得がいってしまいますね。
違いのない部分
ところが、実は逆に同じ点もあるのです。
それは、基本的にどちらも無色透明に近く、体の殆どが水分で構築されているという点で、お互いプランクトンの仲間であるという事。
少し話はズレますが、恥ずかしい話ですが、プランクトンは顕微鏡などでしか見れない微生物と思っていたので個人的に衝撃でした。
ちなみに、サンゴやイソギンチャクも刺胞動物になるので、プランクトンなんだそうです。
まとめ
クシクラゲがクラゲと名前が付けられた頃には、まだ無色透明でフワフワしてる程度の認識だったのでしょうか。
しかし、いざ生態が詳しく解明され出してみると、実は違う仕組みの生物だったいうのは、衝撃だったでしょうね。
クシクラゲはまだまだ謎は残っていると思います。
ですが、一つ一つ解明されていく事も楽しみですね。