ヌタウナギは、危険を察知すると、安全な場所へと逃亡するために大量の粘液を分泌します。
海水を取り込みゼリー状の物質へと変わる粘液にはどのような成分が含まれているのでしょうか。
また、その粘液にはどんな利用方法があるのでしょうか。
ヌタウナギの粘液は何に利用される?
ヌタウナギの粘液は、現在、繊維として利用できないかという研究が進められております。
現在、私達が着用しているナイロン、テトロン、ポリエステル等の繊維は、主に石油から作られておりますが、ヌタウナギの粘液を使った繊維が誕生すれば、環境に優しいだけでなく、その見た目から嫌悪感を抱かれることの多いヌタウナギが見直されるきっかけとなるのではないでしょうか。
ちなみに、ヌタウナギは日本近海でも生息しており、東北地方では郷土料理として食している地域も少なくありません。
では、そのヌタウナギの粘液の成分についてですが、実は、この粘液の正体は糖たんぱく質です。
ヌタウナギが分泌するネバネバの主成分は、納豆や山芋のネバネバ成分であるムチンになります。
ムチンは、たんぱく質の吸収を助けるほか、保水効果が高いことでも知られております。
ヌタウナギの粘液には毒があるって本当?
ヌタウナギには、横腹に複数の粘液腺があり、危険を察知すると、そこから大量の粘液を分泌し敵を窒息させますが、その粘液には毒性はありません。
お隣の国、韓国では、ヌタウナギを食する習慣がありますが、ヌタウナギの皮を割く日本とは異なり、そのままぶつ切りにして炒める、焼く等の調理を行うとか。
毒性があれば、ぶつ切りにすることもできません。
また、刺し身で食べる人もいらっしゃるとのことですので、安心して食べてください。
まとめ
3億5千年前から、その姿を変えていない古代魚であるヌタウナギ。
2つの目は退化し、顎、背骨はありません。
口も小さく、攻撃する術をもたないヌタウナギがこんなにも長く生きてこられたのは、ストレスや危険を察知した時に分泌する粘液のおかげであると言っても過言ではないでしょう。
何らかのトラブルで、頭部、もしくは内臓を失っても、しばらくの間は生存しているほどの強い心臓を複数持っていることが分かっています。